東京高等裁判所 昭和55年(ネ)1094号・昭55年(ネ)1066号 判決
本件賃貸借契約における更新料支払いの約定につき、第一審原告は本件のような法定更新の場合にもその適用があると主張するのに対し、第一審被告は、法定更新の場合にはその適用がないと主張するので、これらの主張の当否について判断する。
建物の賃貸借契約においては、借家法第一条の二、第二条により、これらに定める要件の認められない限り、特に賃貸人のした更新拒絶ないし異議に正当事由の存しない限り、賃貸借契約は従前と同一の条件をもって当然に継続されるべきものと規定されている(法定更新)うえに、同法六条によれば右規定に違反する特約で賃借人に不利なものは無効とされていることを考えると、法定更新の場合、賃借人は、何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができるとするのが借家法の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ、建物の賃貸借契約に更新料支払いの約定があっても、その約定は、法定更新の場合には、適用の余地がないと解するのが相当である。そして、本件賃貸借契約において、叙上と異った解釈を採るべき特段の事情の存することは認められない。
ところで、本件の更新が法定更新であることは、前記のとおり当事者間に争いがないから、第一審被告に更新料支払いの義務があるとする第一審原告の主張は、その余の点について検討するまでもなく、その理由がないというべきである。
(川上 奥村 橘)